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2020.09.18 山口県内初!手術支援ロボットを用いた食道がん手術を開始

 2020年8月より、山口大学医学部附属病院では、食道がんに対して"手術支援ロボットを用いた食道がん手術(ロボット支援下手術)"を開始しました。
 このロボット支援下手術とは、新しい内視鏡外科手術です。ただ、ロボット手術といっても、機械が自動的に手術を行うわけではありません。患者さんの胸やお腹にあけた小さな穴から挿入した手術機器と内視鏡をロボットアームにドッキングして、医師が離れた操作ボックスの中で内視鏡画像を見ながら鉗子(かんし)やカメラを操作して手術を行います。
 手術は食道がんを根治するための唯一の治療法ですが、胸やお腹を大きく開くことで高い侵襲がかかることが問題でした。近年、低侵襲な内視鏡手術が普及したことで、胸腔鏡を用いた手術が食道がんにも応用されましたが、食道がん手術は難易度が高く、根治性と機能温存のためにより精密な操作が要求されます。特に声帯を動かす反回神経の温存が重要となりますが、従来の胸腔鏡下手術ではその操作性に限界があり、神経へのダメージが危惧されていました。この点において、ロボット支援下手術では高画質で立体的な3Dフルハイビジョンカメラ(内視鏡)を使用することで、手術部位の細かな解剖までより判別しやすくなりました。また、専用の鉗子は、人間の手以上によく曲がる多関節機能があり手ぶれも制御できるため、狭くて深い体腔内でも、繊細で正確な手術操作が可能です。このように、ロボット支援下手術は従来手術の欠点を補って精密で愛護的な操作により神経機能を温存しつつ根治性を高めることが期待されています。
 当院では2012年にロボット支援下手術が導入され、現在最新のda Vinci Xiシステム(Intuitive Surgical社)を設置しており、泌尿器科(前立腺、腎)、呼吸器外科(肺、縦隔)、消化器外科(胃)で実施しています。2018年4月に食道がんの手術も保険適用され、この度山口県内で初めてロボット支援下食道がん手術を提供できるようになりました。この手術の実施には単にロボット手術機器の設置だけでなく、高い専門的な知識や技術、経験が必要です。当院は山口県唯一の食道外科専門医認定施設で食道外科専門医を中心に専門性の高い食道がん治療を行っています。また日本内視鏡外科学会による内視鏡外科技術認定(食道がん手術)も取得しており、安全な内視鏡外科手術を実施しています。今後も、ロボット支援下食道がん手術の導入によりさらに高水準でからだに優しい手術を提供し、食道がんの治療の向上に貢献したいと思います。

詳しくは、こちら

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